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11/24/23:57  [PR]

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11/09/13:56  珈琲ミルク

DESTINY本編以後、宇宙での大戦を終えた後オーブに帰還前のAA戦艦内でのお話です。
 
 
  

 
甘くたるいその味に、思い出すは幼い頃の記憶か?
それとも・・・?
 
 
 
『アスランも飲む?』と差し出された湯気の立つティーカップを、俺はジッと見つめる。
中身は一体何なのか?
つい先程まで艦内にて雑用をこなしていた自分。
やや喉が渇いているのは確かなのだけれど・・・?
 
「これはね・・・っと、あ!バルドフェルドさんも、良かったらどうです?」
「キラ君。ありがとう!丁度喉が渇いていたところでね。」
 
その時扉を開けて室内に入ってきた彼・・・アンドリュー・バルドフェルド。
彼は何の疑問も抱かずにそのティーカップを手にした。
 
「ホラ!アスランも・・・どうぞ?」
「ぁ・・・あぁ。ありがとう。」
 
やや躊躇しながらも、流れに逆らえず俺はキラからソレを受け取った。
中身を覗き込めば、コレは・・・?
 
「ホット珈琲・・・か?」
「うん。ミルク入りだけどね。」
 
恐らこの色はそれ以外にありえないであろう、淀んだ茶色をしているのだから。
正直、自分は珈琲と言えばブラックが好みである。
が・・・折角の好意を無下にするのは、どうかと思えて。
  
「じゃあ、喜んで頂くよ。」
「頂きます。」
「どうぞ♪」
 
バルドフェルドさん共々、俺はキラに礼を言いカップを口元へ運んだ。
そうして・・・。
 
「ッッ・・・ぅ・・・!?」
「キ・・・ラ。これは・・・!?」 
「え?何?どうか・・・した?」
「な・・・なんだね。この・・・まった~りとした甘い味は・・・!?」
「あぁ。だから、珈琲牛乳って・・・。」
「珈琲牛乳!?・・・って、ホット珈琲にミルクを入れたのではなくて、元々一緒になってるヤツか!?」
「うん。」
「・・・。」
 
一口だけ飲んだ状態でもって、カップを手に大きく顔をしかめる男二人。
ややあって、互いに目と目を合わせ・・・どうしたものか?と苦笑いをする。
  
「いや・・・キラ君。僕はね、確かに珈琲は好きなんだが・・・。」
「俺も・・・その、どうもこういう甘さはちょっと・・・。」
「あら?あらあらあら?どうなさいましたの?」
「・・・ラクス。」
  
そこへ、にこやかな笑みを浮かべつつ入ってきた桃色の髪をした女性の姿。
彼女は俺達を見て、それからその手に持っているカップを見つめる。
  
「まあ!ソレ・・・如何でしたか?」
「・・・え?」
「ソレ・・・って?あの・・・コレ、ですか?」
「ええ!その珈琲牛乳ですわ!」
「・・・。」
 
嬉しそうに微笑みパチンと両手を合わせたラクスに、どうにも雲行きの怪しさを感じた俺。
まさか、コレは・・・!?
 
「君が・・・淹れてくれたのかな?」

バルドフェルドさんも同じような事を思ったのであろう。
彼には珍しく、歯切れの悪いその口調。
 
「いいえ。」
 
だが返って来たそのは、意外にも『違う』という言葉で・・・。
その事に気持ちホッとしつつ、ならばコレはキラが淹れたのだろうか?と俺は思ったのだ・・・が。
 
「それは、カガリさんが好んで飲まれていた物ですのよ?」
「・・・え?」
「あのオーブの姫君がか?」
「ハイ。何でも、懐かしい味がするとか何とか・・・。パックの物を大量に仕入れて、お茶の時間はソレを暖めてよく飲んでみえましたわ!」
「カガリ・・・が・・・。」
 
俺は思わずジッとカップの中身を覗き込んだ。
彼女が懐かしいと言って飲んだというこの液体。
果たして・・・一体どんな想いを描きながら、カガリはコレを飲んでいたのだろう?
 
「・・・って、アスラン君!?」
「あれ?アスラン!?この甘さは苦手って言ってたのに・・・!?」
「あら・・・うふふ。愛の成せる業・・・ですわね、アスラン。」
  
まったりとしたこの甘味。
トロンとしたたるい液体は、何処か優しくもあり・・・そしてそしてそして・・・?
  
「アスラン・・・大丈夫?良かったら水飲む?」
「いや・・・いい。」
「だが・・・なんとも言えない顔をしているぞ?」
「・・・大丈夫ですから!」
  
この悩ましい味は、正しく彼女を泣かせた己への甘い罰の味なのだろう。
俺はそう思い、ごくりとソレを嚥下したのだ。
 
  
 
 
本日、母子3名ともに胃腸風邪でぶったおれております。
そんな中、子供がせがんでこしらえた珈琲牛乳。
ソレをちょびっと飲んで思いついた、馬鹿な妄想文でしたw


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11/04/02:37  IF DESTINY (無駄に長いと思います・・・w)

思いついた、こんなDESTINY。
いわゆる、本編捏造編です。
(以前サイトに載っけていたのかいなかったのか?発見して消去するのも勿体無く思い、ブログでUPする私w)
無駄に長いです!
そして未完の妄想です!
以上の点を踏まえた上で、お読み下さいませ。 

登場人物の設定等は、ほとんど何も変わりありません。
ただ、変えてみたのは主にカガリの動向です。

始まりは、ミネルバVS連合・オーブ軍の開戦シーンからになります。
それ以前の事は、実際のDESTINY本編通り・・・。

 

 

C.E73.地球に堕ちたU7の残骸は、再び大きな憎しみ、悲しみを生んだ。

・・・地球に住む、友人達よ。どうか、この未曾有の災害から・・・

プラント最高議長からの声明、そして援助。
それは非常に迅速、かつ暖かな行動であった・・・が。

裏でうごめく多くの意志が、再び全てを呑み込まんとし始めていた・・・。

【コーディネーターによるテロ行為】によって起こった、人災。
それを良い様に捏造、そして被害者達を煽り、その矛先を一点に定めさた。
やがて・・・起こりうるべくしてなのか・・・?
争いの火蓋は、プラントへの核攻撃という形で、斬っておとされたのだった。


 【ガンダムSEED DESTINY IF もしも・・・な妄想 】



海上に展開するオーブ艦隊の数は、予想をはるかに超える規模だった。

ザフト最新鋭艦ミネルバ内に、緊迫したムードが漂う。
圧倒的に負けている、数の差。
時間をとられれば、確実に・・・こちらが不利。
ならば・・・。

「ターンホイザー照準。右舷オーブ艦隊!!」

艦橋に響く、女艦長・・・タリアの声。
それを復唱する、部下。
そして。
緊迫した一瞬の時が過ぎた!

「撃てッッ!!」

ミネルバからの、陽電子砲攻撃。
砲内に、物凄い電子光が輝きだし・・・。
それが、光線となって放たれようとした、正に、その時だった。

天からの、まるで啓示のような一つの閃光が落ちる。

「なッッ!?」

その光線によって、誘発し、爆発する主砲。
艦橋に居た者も、また海上に展開するオーブ軍等も、皆目を瞠った。
やがて黒煙と、爆風の舞う空間に、次第に姿を見せたモノ・・・。
先の大戦中、神の如く戦場を舞った、青い翼を持つMS。
そして・・・。
更にその後方、空に浮かぶのは、大天使艦・・・。

「あれは・・・!!フリーダム・・・と、アークエンジェル・・・!?」

それを目にした者全てが、息を呑み、動きを止めたのだった。




とんだ茶番だ・・・。
多くのクルーはそう言い、突然現れた第三勢力、アークエンジェルの行動を危ぶんだ。
全く持って・・・理解に苦しむ。
彼等は、一体何が目的だというのか?
戦局は連合VSザフトという、2色の争いの場であった。
しかし・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『オーブ軍に通告する!この場での戦いは無益だと思わないのか!自国の理念を思い出し、軍を退くべきだ!』

英雄の象徴のごときMS・・・フリーダムから、そんな電波が飛んだ。
顔を見合わせるクルー達。
タリアは、そんな部下の様子を見て、一言発する。

「撃ち方止め!状況をしばし見る。」

『何故こうして、オーブが連合と手を結び、派兵をしたのか!!これが、国を危険に曝す行為だと、何故分からないんだッ!?』
 

沈黙したままのオーブ艦隊。
戦場には似つかわしくない静寂の時。

けれど・・・。

それは、突然動いた。

無数の砲弾が、青い翼を持つMSと、その後ろに控えるアークエンジェル艦に向かい放たれる!

「!!」

煌く閃光の嵐。
一瞬にして爆発、誘発する砲弾たち。
フリーダムから放たれた 光の束によるものか?
やがて・・・。
その煙を裂く様にして、青い翼は、ほぼ無傷の姿を見せる・・・。
同時に、オーブ艦隊からムラサメ機が出撃し始めた。

「・・・アークエンジェル艦を、マニュアルどおり敵機とみなし、動く。」

ミネルバ艦長は、瞬時にそう判断、指示を下す。
空には、飛来してくるムラサメ隊。
再会される、戦局。

『くそッッ!!』

通信から、シンの怒りの声。
見事な動きで、インパルスが敵機を撃ち堕としていく。

「更に機影・・・ウィンダム10。そして・・・カオスに、ガイアです!」
「!!」

頼みの綱の、主砲が使えない上に、例の強奪MSまで・・・!

『艦長、こちらも出ますよ?』

通信に、フェイスであるハイネ・ヴェステンフルスの姿が映った。

「ええ、お願い!」

艦内のMS全機が発進していく。
それでも・・・圧倒的に不利な形勢。
ミネルバを取り囲まんとする、オーブ・連合艦隊。
おまけに、突然乱入してきた、あの先の大戦の遺物である・・・MSと戦艦の存在は・・・!?
クルーに動揺が走っているのは事実。

『・・・これが・・・答え!?ならば、オーブの指揮官・・・!』

怒りに満ちた声が、フリーダムより電波となって届く。

『ユウナ・ロマッ!!オーブの軍を退けッ!!この言葉が聞けないのならば・・・国家元首である、カガリ・ユラ・アスハの命は・・・保障しない!!』
「!?」

その突然の脅迫に・・・多くのムラサメ機は動きを止める。
・・・今、あのフリーダムの操縦者は、何と言った!?・・・・・
国家元首を人質に、オーブ軍を退却させようとする言葉。
確かに、例の結婚式からオーブ国家元首をさらい、そのまま行方をくらましていたのは・・・。
そう、フリーダムと、アークエンジェル艦ではある・・・が。
しかし・・・何故!?
その意図は・・・!!
何故こんな脅迫事までして、彼等はオーブ軍に退けと言うのか?
それに。
あのMS・・・フリーダムも、そしてアークエンジェル艦も・・・だ。
元はカガリ・ユラ・アスハと共に、先の大戦を生き抜いた同胞ではなかったのか!?

『何だっていいッ!!ごちゃごちゃと・・・お前等、五月蝿いんだよッ!!』

そんな動揺の走る戦局内を、カオスが切り裂くように飛んでいく。
動きを止めたまま空間に漂うフリーダムに向け、ビーム攻撃をかまし・・・。
瞬時に、回り込み・・・!!

『なッッ!?』

けれど、そんなカオスの動きを読んでいたかのように、フリーダムはビームをかわし・・・。
カオスとすれ違いざまに、その剣を一閃する。
手にしていたビームライフルごと、カオスの腕から先が爆散した。

更に、フリーダムは突然海中に向かい、ビームを数発放つ。

「ドンッッ!!」

音がして、海面に白い無数の泡が出てきた。
海中に潜伏していたアビスは、見事に背中の装甲に弾を受けていた。
そして、艦への帰島を余儀なくされる。

その後の戦闘は、フリーダム&アークエンジェルの一方的かつ不可解な介入により、一旦の幕引きを迎えることとなったのだった。
 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

紅いMSが小島に着陸する。
画面を拡大すれば・・・仲介を頼んだ彼女、ミリアリアの姿を確認できた。
ハッチを開け、地表へと降りる。
「!アスラン・・・こっちよ!」
彼女は軽く手を振った。
「キラも、もうすぐ来るはずだから。」
ミリアリアは言いながら、彼の後ろにそびえ立つ紅いMS・・・セイバーを見上げる。
こうしてMSと共にあるアスランの姿は、酷く馴染んで見えた。
しかし・・・。
再びザフトに戻った彼を見て、キラがどう思うか想像すると・・・AA内の状況を知る彼女は、思わず眉をひそめる。

『大天使との接触を希望する。紅い正義の騎士より。』

AAへの暗号打電。
すぐ様、返事は来た。
そして・・・。
ミリアリアは、遥か100メートル程先に見え始めた、2つの人影をじっと見つめる。


『黒海南東にある無人島にて会いたし。青い自由の翼より。』

「・・・アスラン。」
「キラ。」

こうして、戦渦の中、再び友たちは会いまみえたのだった。



「バルドフェルドさんも・・・アークエンジェルに?」
「ああ・・・。やはり元軍艦乗りなだけに・・・乗らずにはいられない性質のようだ。」

紺色の髪を、海風になびかせながら、彼はそう尋ねた。
キラはチラリと隣に居る男性を見上げた。
そこには、元軍人で、『砂漠の虎』という異名を持った男、アンディー・バルドフェルドの姿。
相変わらず、飄々とした感じが漂うものの・・・その目の奥は、決して笑っていない。
彼・・・バルドフェルドは、じっとアスランを見つめ、そう答えた。
まるで、何かを探ろうとしているかのように・・・。

「・・・アレは?君の・・・機体?」

キラが、友の後ろにあるMSを仰ぎ見ながら、ポツリと尋ねた。
ミリアリアは、ゆっくりとアスランを見る。

「・・・ああ。俺は・・・ザフトに復隊した。」
「!!」

直にそう、はっきりと言われると・・・やはり衝撃は来るものだろう。
先の戦闘にて、この赤いMSの姿を目にしていた。
キラは、ここでその機体を見た時から、もしや・・・と思いつつも、何処か夢心地で居た。 
何故・・・?
君は、カガリの為、オーブの為、プラントへ向かったのではなかったの?
そう問いただしたい気持ちを、ぐっと堪え、キラはじっとアスランを見た。

「・・・で、君がまた『ザフト』だとして・・・何が言いたいの?」
「ッッ!!・・・俺はっ・・・もう、あんな行為は止めさせたいと思ったからだ!!あんなっ・・・!」

オーブの為?
キラ達は、MSと戦艦を使い、戦闘に介入しているとでもいうのか!?
そんな義賊のような行い。
あんな事は、全く持って・・・!!!

「もう、あんな行為は止せッ!そして、何だッ!あの脅迫めいた言葉は!?」

・・・軍を退かなければ、国家元首である、カガリ・ユラ・アスハの命は保障しない!・・・

「何なんだ!?カガリの命を保障しないだとっ!!そんなハッタリが通用すると思っているのか!!」

第一、彼女の身を案じ、ユウナ・ロマ・セイランとの挙式場からMSにて掻っ攫う行為をしたのは・・・。
紛れも無く、ここに居るキラであり・・・彼女の姉弟だろう!?
そんなことは、オーブ軍も重々承知しているはずで・・・!

「この間の戦闘は、運良くオーブ・連合軍が退いたから良かったものの・・・お前は、国家元首誘拐犯として、世界に名でも馳せたいのかッッ!?」

アスランには珍しく、思いの丈をぶつけていた。
それは・・・こんな状況になってしまった事への嘆きか?
いや、友を想う気持ちか?

「君のいう事も分かるよ・・・でも。でも・・・僕達は、ああするしかなかったんだ・・・。」

静かな水面のように、キラは穏やかにそう言った。
アメジスト色の瞳は、何処か遠くを想い遣るかのように、細められる。

「ああするしかなかった・・・だと!?あんなっ、おかしな行為しか・・・!?」
「うん、もう・・・。」
「オーブ軍を止めたい気持ちは分かるッ!!だが、あれで軍を退けるようならば・・・!キラ、戦争なんてものは、そんなに優しくはないッ!!」

分かっているんだろ・・・!?
アスランは、目でそう問い正す。

「うん。そうだね・・・その通りだよ。でも、カガリや、ラクスの為に・・・僕たちは出るしかなかったんだよ・・・アスラン。」
「!!!」

少し、瞳を鋭くして、キラはアスランを見た。
しかし、アスランもまた、キラのそんな言葉に、頭の中がカッとなった!

「カガリの為だとッッ!?・・・オーブ軍を止めたいならばっ、戦場に出て来る前に、議会の方を何とかすべきだろうっ!!お前と一緒に居るアイツは・・・カガリは、オーブの代表なんだぞっ!?」
「・・・アスラン。」
「こんな情勢下に、国を出て・・・カガリは一体どうしようとしているんだ!?オーブ軍が連合の増援として来ている事を、アイツは・・・!!」
「アスラン君!」

胸の奥にズッシリと来る様な、そんな声がした。
ハッとなり、その声の主を、アスランは見上げる。
ジッと自分を見下ろす、バルドフェルドの顔。
その表情の中に、ただならぬモノを感じて・・・アスランは思わず眉をしかめた。
何だ・・・?
同じ戦場を駆け、また元指揮官であった男。
そんな男の顔は、じっとアスランを見つめ・・・いや、どちらかといえば、睨んでいるかのようで・・・。
重い・・・空気が、その場を占める。

「・・・?」
「・・・出来うる限りの手は、つくしたんだよ・・・。セイランとの政略結婚なんて、どうしたって許せなかったからね・・・。」

キラの声が、静かに聞こえた。
そっと、アスランは視線を変える。
目を細め、唇を噛み締めているキラの姿。
それを見て・・・ドクンっと、アスランの心臓が鳴った。
・・・何だ・・・!?

「僕だって、あんな風に・・・結婚式当日に、MSを使って花嫁強奪なんて事、する気は無かったよ・・・!だけど、だけ・・・ど。」

ギュッと拳を握り締め、キラは目を閉じた。
アスランは、彼の言葉の先を思い・・・思わず唾を飲む。

「確かに、あの日。ユウナ・ロマ・セイランとの挙式当日。僕は、多くが見ている前で、花嫁を攫って行ったよ。」

だけど・・・。
だけど・・・?

「違ったんだ・・・!」
「・・・え?」
「・・・花嫁は・・・カガリじゃなかった!カガリに似てはいたけれども・・・彼女じゃなかったんだ!」

カガリじゃなかった・・・?


キラの声が、海風に乗り、そして俺の耳に届いた。
優しい風が、身に刺さるかのように、アスランには感じた。

「カガリじゃ・・・なかった・・・とは?」

「結婚式に居た女性は、本人ではなく、良く似せた別人だったんだよ・・・。」

それは・・・何故!?
なぜ、そんな替え玉を・・・!?

「それは、どういう・・・。」
「今は、まだ・・・何も解っていないんだよ。彼女の身を、裏のコネを使ってフルに捜索してはいるんだが・・・。」

まだ・・・コレと言って、何も・・・。
手がかりが無い。
バルドフェルドの言葉が、アスランの頭の中に木霊する。
手がかりが・・・無い・・・とは?
ソレは、つまり・・・?
カガリが・・・見つからない・・・!!??

「そ・・・。」
「何処にもッッ・・・カガリは何処にも居ないんだよッッ!!!」

キラの叫びが、夕暮れの波際、高々と響いたのだった。



ゆっくりと沈む太陽。
時はこうして、止まらず、流れていく。
人の思いも同じ。
止まることなく・・・全ては、流れ動いていくのだ。

アスランの脳裏に浮かぶのは・・・赤い指輪・・・。
別れ際・・・意を決して、渡した・・・俺の想いの証。
再び訪れようとしていた、争いの脅威。
そんな状況下、俺なりに出来る事をしたくて・・・。
けれども、それには彼女と共に、オーブに居ては何も出来ない・・・。
俺はそう思い、プラントへ行使として行く事を決めた。

彼女を、あんな時に、独りにしてしまう事。
それは・・・とても、心残りではあった・・・。
でも、ココに留まっているだけでは、何も出来ず・・・。
そう、父が撃たれ、亡くなった、あの時と同じ・・・後悔の念だけは、もう抱きたくなくて・・・!

『こ・・・こんな指輪の渡し方って・・・ないんじゃないかっ!?』

頬を染めながら、そう叫んだ彼女。
そして・・・交わした口付け。
今も、色褪せる事の無い・・・あの一時。

なのに・・・。
それ・・・なのに・・・!?


ピピッピピッピピッ!!

セイバーから、何かを知らせる音が鳴った。
アスランは、その音に、思考を途切れさせる。

「・・・艦からの、呼び出し音かな?そろそろ、タイムリミットのようだ。」

バルドフェルドがそう言い、口端を上げた。
そしてスッと、アスランに向かい手を差し出す。

「君がザフトに復隊していた事は、正直驚きだった・・・が、これもまた、何かの運というやつかもしれん。」
「・・・!?」
「こっちは、全力を尽くして、オーブのお姫様を捜索している。そして・・・もう一つ。」

バルドフェルドは、キラリと目の奥を鋭く光らせた。
アスランは思わず顔をしかめる。

「歌姫ラクス・クライン・・・の件なんだが・・・。」

キラもミリアリアも、思わずアスランを見やった。
それぞれから様々な目を向けられた事、そして、自分が頭に思い描いた女性・・・ミーア・・・。
アスランは、

「アークエンジェルが発進する事となった、第一の要因は・・・ソコにあるんだよ。アスラン。」
「・・・?」
「僕達はね、オーブのマルキオ邸で、突然襲撃を受けたんだ。それも・・・MSまで使う奴等にね!」
「しゅ・・・うげき!?」
「狙いは・・・ラクスだった!」

更なる衝撃の事実を知り、アスランの中で、思考がストップした。

「そ・・・んな・・・事。」
「確かに、狙いはラクスだった。そして、奴等は・・・ザフトの新型MSまで使い、執拗に攻撃をしてきた。」

キラの言葉・・・それが、示すものは・・・何だというのか?
ソレは・・・!?

「アスラン君、こっちの意見としては・・・だ。オーブの動向もそうだが、今プラント議長である彼・・・デュランダル氏の動向も、気になる所なんだよ。何故・・・本物のラクスが狙われたのか。それは、今プラントに居る歌姫の存在と関係があるのではないのか・・・とかね。」

バルドフェルドはそう言い、アスランのセイバーを見上げた。
既に何かを知らせる音は止んでいる。

「俺に・・・スパイになれと!?」

アスランは、話の方向性を見て取り、そう強く尋ねた。
そんな彼の緑の瞳を、虎はじっと見つめた。
そして・・・キラも。
海風が、ふわり・・・と、彼らの合い間を縫い、通り過ぎていく。

「いや。・・・君になら出来ない事も無いだろうが・・・。今はまだ、そういう事があった・・・と、知らせておきたかっただけだよ。」

バルドフェルドは肩をすくめ、アスランにそう言った。
アスランは軽く息を吐いた。

「確かに君の言うように・・・この間の戦闘介入は、無茶苦茶な行為に見えるかもしれない。けれど、我々も色々と模索中でね・・・。」
「・・・。」
「君の大切な女性も、歌姫も、今はどうにも・・・複雑怪奇な状況だ。この戦争の裏に・・・なにがあるのか、見極める必要がある。・・・君になら、解るだろう?」

解るだろう・・・バルドフェルドの言葉が、アスランの胸に突き刺さる。
ソレは・・・。
知らず、血を流し、そして・・・。
ナチュラル全てを滅ぼすと・・・そう言った、父。
先の大戦を誤った道へ導いてしまった、パトリック・ザラ。
・・・止められなかった、自分・・・!!
 

 

未完作

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10/21/03:16  アウステ

何故かいきなり、アウル×ステラSSです(^^
18禁要素を含みますので、閲覧にはご注意を!
 
 
 
 
 
暖かくて心地良いこの場所が大好きだ。
とくんとくんと耳に聞こえる鼓動。
懐かしくて、そしてとてもとても落ち着くこの音。

「アウ・・・ル?」
「・・・。」
「アウル?」
「静かにしてろよ・・・聞こえなくなるだろ!?」
「っ・・・何が?」
「だから、黙れって!」

押し付けていた柔らかな肢体が動いて、その心地良いリズム音を遠ざけた。
それにイラっとして、俺はソイツを軽く睨んでやる。
途端に珊瑚色をしたその大きな瞳がユラリと揺れて、グッと細くなった。
その様にまた不快指数がググッと上がって・・・。

「ったく!もういいから・・・行けよ!」
「っ・・・アウル、怒ったの?」
「早く・・・行けよ!」
「・・・。」

オドオドとした感じて自分に問いかけてきたソイツに、苛立った気持ちそのままの言葉をぶつけてやる。
するとややあって、ギシリと軋んだ自分の隣。
ゆっくりと起き上がり、そしてベットから立ち上がる気配がした。

「あの・・・アウル。・・・お休みなさい。」

何かを言いた気にしつつも、結局諦めたのだろう。
か細く高い声が、自分に向かいソッと就寝の言葉を告げた。
チラリと目だけを向けてやれば、スルスルと脱いだ衣服を身に着けていくソイツの姿があって。
何故だか妙に胸がざわめいた。
それは、哀しそうなその瞳になのか?
それとも、今この空間から人が去って行ってしまう事になのか?

「・・・。」

喉元まで出かけた言葉があったものの、結局それは声にはならず。
俺は一つ唾を飲み込み、大きく壁に向かい寝返りを打った。
『寂しい』だなんて事を思う自分が酷くチンケに思えて・・・。
やがてシュンという扉が開く音と共に、其処にあった気配が消える。
そうして残されたのは俺だけ。
ソッと自分の掌を見つめてみる。
まだ其処に、感じていた温もりが残っているようで・・・。
俺はグッと両目を瞑ったのだ。

 

 

時々、妙に意識が熱くなる時がある。
それはふとした折に生じて、そうして思考が白濁していく。
それまで自分が何をしていて、どんな事をしていたのか!?
気持ちがなだらかな時に、何とはなしに疑問に思ったりもするものの・・・。
けれど其処にはふわんとしたモヤがかかっていて、逆に考えようとすればするほど気持ちが悪くて。
直ぐに思考は停止。
まぁ、世の中の全部が分かる人間なんて居ないんだ。
ましてや気分が悪いことなんて、誰でも真っ平ゴメンだろう!

・・・そんな事よりも・・・!

自分が好きな事をした方が何倍も良い。
スティングとバスケをしたりして適当に汗をかいたりするのもそう。
もっと楽しい事をすべきだろう!
いや、寧ろ自分が気持ち良くなる事が良いだろう・・・と。
そんな風にこの胸は訴えて。
ダカラ・・・!

「ステラ!」
「・・・ぁ、アウル。」

丁度暇を持て余していた時に見つけた、ふわふわと艦橋を漂う金色のソイツに俺は軽く声をかけた。
途端にその瞳がやや憂うように細められて・・・。
だけれど俺から決して目を離さず、迷子の子犬みたいな目で見つめてくる。

「来いよ・・・遊んでやるから!」
「・・・う・・・うん。」
「何だよ?嫌なのかよ?」
「違う、嫌じゃない・・・けれど・・・!」
「どっちだよ?っていうか、いいから来いよ!」

グイッと顎で行く先を指してやれば、ソイツはオドオドしながらもコクンと小さく頷く。
そうしていつもの如くチラリとこちらを伺い見て。
その目に、俺は薄く笑って片手を差し出した。
するとソイツはパァっと明るく微笑み、俺の手にソッと自分のを重ねてくる。
そのまま、俺達は無言で歩く。
終着点は俺の部屋。
其処まで、俺とコイツとは手を繋いだまま。
振り返ってみれば、如何にも幸せそうな顔で微笑む姿があって。
何故だか知らないけれど、コイツは酷くこのシチュエーションが好きらしい・・・。
  
「お前って、馬鹿?」
「・・・え?」
「手ェ繋ぐのがそんなに良いか?」

こんな事ぐらい、何がどうなのか!?
俺はわざとそんな目つきをしてソイツを見つめてやる。
まぁ、こうしてやれば素直に何処へでも自分に付いて来るのだ。
だから、いつも連れ込む前にはこうしてやる事が自然になっていた。
たかがコレだけの事!
   
・・・易い奴だよな・・・。 
  
他人の気持ちなんてどうでも良い。
ただ自分が満足すれば良いだけの行為をする相手。
何しろ、下心丸見えな下卑た兵士が言い寄ってこようが、ふわんとした眼差しでそいつ等を見つめていたぐらいのコイツなのだ・・・。 
俺が助けに入ってなかったらば、今頃どうなっているのだか?
良くて、アイツ等の一度きりの玩具。
悪くて回しモノってところだろう。
   
「まぁ・・・そうなってたとしても?」
「アウル?」
「・・・。」
   
俺にはどうでも良い事、関係の無い事だ!
そう口に出して言おうと思ったものの、何故かソレは言葉にならず。
思わずチッと小さな舌打ちが飛び出た。
コイツなんて・・・!
そう思うのに?
他の奴なんて、どうだって・・・!
  
「な・・・に?アウル・・・?」
  
ほわん・・・と自分を見つめてくる珊瑚色の瞳。
其処にちょっとした・・・本当にわずかな安らぎを感じて。
  
「・・・バーカ。」
  
俺はぶっきら棒にそう言い放ち、ちょっとだけ歩むスピードを速めてやる。
 
やがて辿り着いた自室内。
シュンと扉が開いたのと同時、背後を付き従っていた白く柔らかな存在をグイッと部屋に招き入れる。
そしてそのまま、俺はソイツを勢い良く引き寄せて。
  
「っ・・・ん・・・。」
  
柔らかいその唇を貪りつつ、雪崩れ込むようにして自分のベットへ倒れこんだ。
強く暖かく脈打つ首筋に顔を埋めれば、響き聞こえてくるコイツの体内音。
大好きなその音にややウットリしつつも、俺の身体はしっかりと興奮し始めて。
手早く肌蹴た胸元と腰元の着衣、その隙間から手を忍び入れる。
すると得も言われぬしっとりとした感触が、指先から脳へと伝わり行く。
  
・・・最高・・・だよな!
  
ふわんと意識が軽くなり、同時に身体の奥がカッと熱くなる。
そうして指を這わせ、辿り着く胸の頂と足の付け根。

「ッ・・・ァ・・・や!」

感度良く反応を示すコイツ。

「あ・・・んっ・・・や・・・アウ・・・ルっ。」

乗ってきた気分のままに、俺はその下半身を覆う薄布を取り去り両足を大きく開かせた。
目に映る、熟れた女の部分。
それに思考は大きく逸脱して、後は欲望のまま・・・俺は気がつけばいつも腰を振っている。

「んっ・・・あ・・・んんっ!」

俺の動き一つで、コロコロと変わり行くその様。
激しくすれば高く艶のある声が響き、緩やかにすればきゅんと切なく顔を歪めて。
本当に、こんなに気持ちよくて面白い事って他にあるだろうか!?
自分の分身をしっとりと暖かく包み込んでくれるコイツの内!
そして何よりも・・・!!

「あああっ・・・ん・・・はぁっ!!」
「・・・ステラッ・・・!!」

最後の最後、果てる瞬間に名を呼びその細い首筋に顔を埋める俺。
そこで匂う、ふんわりとした日の香りがたまらなくて・・・!
俺は強くしっかりとその細身を抱きしめ胸にするのだ。
そうして感じる音。
とくんとくんとくん・・・。
優しいそのリズム音が、自分に何かを思い出させるよう。
とくんとくんとくん・・・。
耳に聞こえてくるのは、いつかの優しい呼び声?

・・・ル・・・ウル・・・。

心地良いその呼び声が、次第にハッキリと聞こえてきて・・・。

「アウル・・・?」
「あぁ。」
「アウル・・・?」
「何だ。」
「アウル!」

際限なく自分の名を呼ぶ声。
ったく、五月蝿いな・・・。
今日もいつもと同じ、そう思ったものの?
一言『出てけ』といえば、今すぐにコイツの身を解放すれば、きっとソレは直ぐに止むのだろう。
でも・・・。
 
とくんとくんとくん・・・。

聞こえるリズム。感じる懐かしさと思い。
俺は・・・?
忘れてる何かを感じられそう・・・なのかも?
       
「しょうがないから・・・お前、俺の傍に居ろよ?」
    
良くわかんないけれど、どうしてかそんな事を言っていた自分。
そうしてまた、フワフワとしたソイツの身体を強くキツク抱きしめたのだ。
 
 
 
・・・すっごい微妙?
でも、アウル→強引→ステラな構図です。
なはは・・・笑ってくれて構わんよ。
FOR   鳥さんv

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10/12/05:05  憧憬

アスカガウェディング後のイザークボヤキ編です(苦笑)
 
 
 
 
先程手元へと持ってこられた報告書とやらを、何気に手に取り見開く。
・・・調査報告書という銘打たれた最初の文字を見て、彼はフウッと溜息を一つついた。
手にした品はそのままに、チラリとデスクの上、そこにあるPC画面端に目が向いて。
14:43・・・もうそろそろ、終わる頃だろうか?
ふとそんな事を思うこの胸。
そうしてくでんと執務用チェアーに身を任せ、彼はまた一つ溜息をつく。
  
・・・何だというのか・・・?
  
己の胸に問いかける。
だから一体、何なんだ!?
今更、俺は何を思っているのだ?・・・と。
 
「失礼いたします!」
 
その時不意に入室を告げる声がして、彼はキッとした鋭い眼差しを入り口に向けた。
『入れ!』と短い了承の言葉を告げてやれば、シュンという音がして開いた扉。
 
「先程仰っておられた件について、それに関する資料等お持ち致しました!」
「・・・あぁ。では、其処に!」
「はい。」
 
そうしてまた、デスクの一箇所に乗せられた新たな品。
ソレにやや眉を潜めて、彼はこちらに敬意を払いつつ颯爽と退室していく部下の姿を目で見送った。
シュンと入り口が閉まる音を聞いた直後、フウッとまた一つ零れ落ちた吐息。
チェアーに優雅に足を組み座った状態で、彼はクルンと身を返した。
自室の大窓、其処から見えるプラントの空へと目を向けて・・・。
 
・・・遠い、な。
 
目にした青空の果て。
暗い宙空間を通り、そうしてようやく辿り着ける青い星。
己の住む世界と彼等が住まう世界とは、やはりとてつもなく遠いのだ。
無性に感じる距離感。
そうか・・・そうだな・・・。
フッと思わず生じた苦笑は、己がライバルと認めた男の所為だった。
奴が『彼女』をその手に出来たのは、自ら隔たりを越えていったからなのだ・・・と。
  
「到底、俺には出来ん事だがな・・・。」
 
ポツリと呟いた言葉、それと同時に酷く青い感情が胸に生じる。
自分と奴との差。
そうだ、元々分かっていた事ではないか?
  
・・・アイツならば、きっと『彼女』を幸せにするだろう。
 
自然と込み上げてくる確信。
だが、ソレがまたこの胸を重く青くしていく・・・。
 
「何なんだか・・・。」
 
忌々しいこの胸の感情。
バンッとと無造作にデスクへと報告書を戻して、彼はギュッと両目を瞑った。
すると暗い意識内、ぼんやりと浮かんでくる金色。
 
『お前がGAT-X102デュエル・ガンダムのパイロットか!?』
 
忘れもしない、出会った当初の声が蘇る。
そうして、己をジッと食い入るように見つめてきた琥珀色・・・。
 
『ありがとうな!お前のおかげで助かった!』
 
あの時、自分に向かい突然に礼を言ってきた彼女。
ナチュラルで、しかもオーブMSパイロット姿で、しかも無茶苦茶に無防備で・・・!
対して俺は機嫌が悪く、何処か陰鬱であった。
だから目の前にいきなり現れた彼女を強く睨み、そしてうっとおしく思いさえしたのだけれど。
でも・・・そう、本当は眩しすぎたのだ。
 
・・・ナチュラルは敵だ!
 
自身が抱いていた信念、感情、それ等を一気に覆すかのような存在。
己と何も変わらぬ外見、感情、そして何よりか細くて柔らかそうなその女性の姿に、この胸が強く締め付けられて!
 
『本当に、ありがとう!』
 
ニッと目の前で微笑んだ彼女に、もう俺は懺悔の気持ちを抱きはじめていた。
果たして、自分は礼を言われるに値するのだろうか?・・・と。
コイツの同胞を、俺は一体どれだけ倒してきたのか!?
止メロ・・・止メテクレ・・・!!
  
『これからまた大変だろうが・・・!』
  
だがその一瞬後!
その時は、何が起こったのか分からなかった。
ポンッと自分の肩を叩いた手と、そして・・・。
  
『お互いに、頑張っていこう!』
  
まるで、俺の中の暗い闇を取り払うかのよう。
視近距離で見つめた琥珀色の瞳の中、其処に眩い暁の光が見えた気がした。
金色に輝く、あの地球で見た陽光の如き光が・・・。
   
  
 
「!?」 
    
ピピピッという機械音が、過去へと遡っていた意識をとぎらせた。
ハッとして目を向ければ、デスクの上で鳴っている携帯機器。
俺はソレを目を細めて見つめ、そうしてゆっくりと歩み寄る。
そして手で開き、受信ボタンを押して・・・。
 
「何だ・・・?」
『・・・って、イザーク?いや、今終わった所なんだけれど・・・。』
  
藪から棒にそう問い尋ねてやれば、向こう側で大きく困惑した男の顔。
だがめかしこんだその衣服と、そして職務を離れた解放的なソイツの口調に俺の中の不快感指数は上がる一方。
  
「それで・・・何なんだ?」
『いや、だから・・・別に『何』って訳でも無いんだけどさ。』
「用が無いのならば、切るぞ?こちらは勤務中なんでな!」
『あぁ、分かってる!分かってるから・・・そんなにカリカリするなよ、イザーク?』
「誰もカリカリなどしてはいない!」
  
キツク言い返してフンッと一つ鼻を鳴らせば、通信画面の向こう側、ディアッカは何も言わず。
そうして、しばらく間を置いてだった。
 
『いや、一応報告までに・・・と思ってさ!』
  
何の報告だ!?
報告と言う言葉に、自然と己の耳は聞く体勢になってしまう。
これは職業病というヤツだろうか?
俺は忌々しく思いつつも、続く言葉に耳を傾けて・・・。
  
『式は滞りなく無事に終了。アスランの奴も、実に幸せそうだった。』
「っ・・・アイツが幸せであろうが無かろうが、俺にはどちらでも良い事だ!」
『ふっ・・・まぁ、それは俺も同感だけど。』
  
鋭く言い放った俺に、画面の向こう側の紫色の瞳が苦笑する。 
そうして、唐突に・・・だった。
 
『彼女も・・・綺麗だったぜ?』
  
ディアッカが付け足したその言葉に、思わずピクリとこめかみが動いた。
けれど、俺はグッと腹に力を入れる!
  
「関係ないな!・・・そんな事よりも、お前は適当に羽根を伸ばしてサッサとこちらに帰って来い!」
  
チラリとデスクの上、其処に置かれた目を通すべき書類等を見やる俺。
やらねばならぬ事は、まだまだ沢山あるのだから・・・!
  
『・・・あぁ、了解!じゃあな!』
  
明らかに苦笑いを浮かべつつ、ディアッカの奴はとっとと回線を切る。
まあ、それが正解というヤツだろう。
正直今の俺は、ちょっと気が乱れているのだから・・・。
 
「何が、綺麗だったぜ・・・だ!」 
 
要らぬ報告をしてきた友に、俺は悪態をつく。
そうしてグデンとまたチェアーに身を預け、そのまま目を閉じた。
まだ今しばらくは、この胸の葛藤は続くのかもしれないな・・・。
そんな自分に呆れつつも、致し方無いと納得しようとする胸。
己の青くも淡い初恋。
それはまだ、消し去るには至らぬようだから・・・。
 
 
  
 
ということで、アスカガウェディング後のイザークボヤキ編でしたw
多分彼ならばこんな感じなのでは??と想像しつつ書きましたが、どう?(誰に聞いているw
いや、自分もイザカガ好きです^^
が・・・寧ろイザカガに嫉妬するアスランという図がもっと好きw
今回のお話はアスランに嫉妬するイザークと言う事で、結構想像するのが難しかったです。
だって、イザークの嫉妬って凄い気がしてなりませんもの。
私の中で嫉妬の強さは、アスラン<イザークなんですが・・・。

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09/19/03:48  幸せの余波

 アスカガの結婚式後のディアミリ短編SSです。
 

 
 
ユラユラと揺れる毛先。
柔らかいその甘茶色から覗くのは、この眼に眩しい白き項。
 
髪の長さもその全身の姿形も、あの頃とあまり変わらない。
だがそれでいて、何処か何かが違うような気がしてならなかった。
 
・・・何でだ・・・?
 
其処でようやく俺が『あぁ、そうか・・・!』と気づいた。
それは、その普段とは違う艶やかな装いの所為なのだ・・・と。
通り風に透けて揺れる淡い橙色の薄布。
花びらの形をした袖からは、陽を受けて輝く白い細腕。
ウェストラインに揺れるのは、つやつやと光沢のあるリボンで・・・。
それ等に自然と細くなる俺の眼。
   
「なぁ・・・?」
「・・・なによ?」
 
衝動的にかけた声に、何処かムスッとした顔つきで無粋な言葉が返ってきた。
折角の華やかで可憐な装いであるというのに、この出会った当初を思い出す言動はどうだろう?
勿体無い・・・!
胸の中でそう思いつつ、俺は一先ず軽く苦笑をした。
変わったようでいて、変わらない・・・これは人の本質というヤツだろうか?
 
「もうちょっと、ゆっくり歩けよ?」
「・・・あたしはこれが普通なの。そっちこそ、もうちょっとスタスタと歩けないの?」
「・・・。」
 
こちらの提案なんて、根っから聞いちゃいない。
いや、聞く気なんてないのだろう。
俺はアッサリとそう判断して、ならば・・・とグッと歩く歩幅を大きくした。
そうして・・・!
 
「これで宜しいでしょうか?ハウ嬢?」
「っ・・・!?」
「よろしければ、その重い引き出物袋をお持ちしましょうか?」
「・・・。」
 
彼女の真横に並ぶと、半ば冗談、残りの半分は嫌味でもって、恭しく騎士の真似事をしつつ片手を差し出してやった。
そんな俺に、彼女は驚きちょっとだけ身を引く。
そしてその丸い空色の瞳でジッとこちらを見つめてくる。
 
「何か・・・企んでいるとか?」
「・・・あのなぁ?」
「そんな態度を取られると、逆に訝しみたくもなるわよ?」
「お前・・・それじゃ俺がまるで紳士から程遠い人間みたくないか?」
「・・・いいわよ。これぐらい、自分で持っていけるから!」
 
こちらの問いかけを見事にスルーして、彼女はアッサリとそう言い再びスタスタと自分より先を歩き出す。
その取り付く島の無い態度には、流石の俺も盛大な溜息が零れ出た。
悲しいかな、思いっきり防衛線引かれてるよな・・・。
その事を痛いほどに実感して、やれやれと後頭部をかきむしる。
俺って、そんなにも酷い男だったか?
こんな風に、徹底的に嫌われるような事をした覚えはないのだけれど・・・?
 
・・・まぁ、そりゃ・・・ノッた勢いに任せてちょっと強引に彼女を抱いた事はあった・・・かも?
 
そうして短い期間ではあったが、確かに『彼氏と彼女』であった時の事をふと思い出す。
幸せとかそういうのを噛み締める程の付き合いではなかったものの、彼女と共に居ると非常に心が和んだ。
それまでが結構スリルを楽しむ恋愛など好んでいた自分なだけに、そういう存在が逆にイレギュラーで・・・。
新鮮というのか?
いや、寧ろ自分の中で真に求めていたモノを見つけたような気がしていたのだ。
だからといって、それまでの自分がいきなり変わるわけでもなく・・・。
俺が思ったままの事を口にして、それが原因で『無神経な男ね!』だとか『冷酷な人ね!』とかしょっちゅう口喧嘩をしたものだった。
とはいえ、彼女に無理強いしたなんて事は決して無かった。
いやいや、そんな事を出来る筈も無くて・・・!
なのに、ふとある時生じた互いの間のギズギズ感。
そして・・・。
  
『ねぇ・・・私たち、別れない?』
   
そう告げたのは彼女からだ。
本当に突然で、そして何とも言えずアッサリとした口調だった。
それに対して俺は、変なプライドも相まってか『そうしたいならば・・・別にいいぜ?』と答えて・・・。
でも、心の底ではずっと・・・ずっと気になっていたのだ。
 
・・・これでもう、本当に・・・彼女とは終わりなのだろうか?
  
そんな、妙な思い。
自分で別れる事を了承しておきながら?
俺は、実はずっと・・・『再び』がある事を望み期待しても居て・・・!
 
・・・別れた時もそう・・・今もそう・・・俺の勝手な考えなんだけど・・・な。
 
根拠の無い淡い期待。
そして見つめた先、目の前を独りで行く彼女の背にこの胸は少し青味を帯びる。   
   
『この機に乗じて、もう一度・・・彼女にアプローチでもしてみたらどうだ?』
   
珍しくそんな事を進言してきたのは、今回俺がわざわざ休暇を取って地球の一小国であるオーブまでやってきた理由の主だった。
普段はコレと言って気の利いた話をする奴じゃないのだが、どうやら祝宴の酒に酔った所為もあって、いつにも増して口数が増えていた。
元同じZAFT軍人で、今はオーブの高官、そしてついに・・・多くの障害を乗り越えて高根の花たる女性を娶った優男。
    
『いつもより穏やかに話が出来るかもしれないぞ?』
   
いかにも幸せそうな翡翠色の瞳が、披露宴会場の一角へと向けられた。
その先には、乾杯の折に口にしたシャンパンだけで微かに頬を朱色に染めている甘茶色の髪をした彼女の姿。
確かに酒の入った後ならば、俺も気が楽だ。
とはいえ・・・果たしてどんな反応をされる事やら?
そんな事を考えて、思わず口篭っていればだった。
  
『ハハ・・・ディアッカが、こんなに躊躇するなんて。珍しいな・・・というか、それだけ真剣って事か?』
  
くそっ・・・アスランめ! 
意中の女性と晴れて結ばれた勢いでもあってだろう、自分に向かいそんな事を言ってのけやがった。
今までならば自分が彼をからかうのが主流であったというのに・・・!
そんな悔しい気持ちをバネに、俺はようやく気持ちを決める。
 
『あのさ・・・良かったら、この後どっかでお茶でも飲まない・・・か?』
 
新婦側の来賓席へとお酌に回ったついでに・・・と、自分は彼女に誘いの言葉をかけたのが約1時間程前。
彼女はそんな俺に、一瞬大きく迷った挙句『お茶飲むだけなら・・・』と渋く了承の言葉を返してくれて・・・。
  
  
  
「・・・ねぇ?」
「ん?」
   
気が付けば、数メートル前で足を止めた彼女がこちらを振り返りジッと俺を見つめていた。
その真っ直ぐな青い瞳に、思わず俺はパチパチと両目を瞬かせる。
   
「何、ぼーっとしるのよ?」
「あ・・・いや、悪い。ちょっと・・・考え事をさ・・・。」
  
振り返った思い出に、やや青くなりかけていた胸を隠してそう答えればだった。
俺の微妙な顔つきに、彼女はちょっとだけ首を傾けて。
  
「いやね・・・こんな所で考え事?」
「・・・ちょっとな。」
「何よ、それ。」
「なんていうのか・・・うん。色々と・・・な。」
「・・・。」
  
口篭った自分の方へと、彼女は何故かトコトコと歩み寄ってきた。
そうしてピタッと俺の面前で立ち止まる。
  
「やけに・・・しんみりしてるのね?」
「っ・・・て、俺がか?」
「そう。もしかして、意外と感情もろい方だったとか?」
「・・・何言ってんだか。別に、人の結婚式なんざ見ても、俺は何とも思わないぜ?」
 
ニヤニヤとにやけているアスランの顔が脳裏に浮かんできて、俺は思わず強気にそう言い返していた。  
すると何故か、彼女の瞳がちょっとだけ陰りを見せる。
その目に、『ん?』と素早く反応を示すこの胸。
  
「そうよね・・・。アンタは、昔っからそういう奴だったわよね。」
   
さっきまでとは違うトーンでもって聞こえた言葉。
その訳の分からない態度に、俺はグッと顔をしかめる。
何だ?
彼女は・・・何を怒っているんだ!?
  
「ミリィ・・・?」
「馴れ馴れしく呼ばないでよ。」
「あ・・・いや。じゃあ・・・ハウさん?」
「・・・ミリアリア。名前で呼んで。」
 
背けられた彼女の顔を追い、俺は身体を屈ませた。
一体全体、何がどうしたっていうんだか?
 
「どうした?そっちこそ・・・ミリアリアこそ変だぞ?」
「・・・何でも無いわよ。」
「何でも無い・・・って、そういう顔してか?」
「五月蝿いわね!何でも無いっていったら、何でも無いのよ!・・・ただ。」
「・・・?」
  
そこでいきなりグッと押し黙った彼女。
俺はジッとその横顔を見つめる。
 
「人と一緒に居る時に、他所事考えてるのって・・・どうなのよ?」 
 
小さく呟かれた言葉。
その何処か困惑顔の彼女を見て、俺の中の何かが弾けていた。
意地っ張りで強がりで我が強くて、それに負けず嫌いで・・・だけどその実、淋しがり屋で・・・!
中々、素直に気持ちを出さない奴だったよ・・・な? 
    
「その・・・。」 
「え?」
「つい・・・お前の姿に悶えてた。」
「・・・って・・・はぁ?」
「その格好、良く似合ってる。」
「な、何よ・・・いきなり!」
  
『馬鹿じゃない?』と、俺の言葉に冷たい言葉で返した彼女。
でも・・・だけれど!
   
「お茶・・・するんでしょ?早く行きましょう?」 
    
自分に向かい、微かに微笑む彼女。
その顔には、喜びが見て取れた気がしたから・・・!  
  
「おう!」
 
俺は自分の胸に片手を当てて、強く宣誓する。
彼女のハートを、再びこの手に・・・と!
 
 
  
 
キララクに次いで書いてみました・・・が如何でしょうか?
ミリアリアは、別れたディアッカに何処かツンケンしてます。
でも脳内では、幸せなアスカガウェディングを見た感動が強く印象に残っていて・・・。
ディアッカからの誘いに、本当は胸の中ドキドキしてるんですよ。
そんな彼女に気持ち迷い、独り自分の世界に浸るディアッカw
このCPは、彼女に翻弄されているようでいて、その実グイグイ引っ張っていく彼という感じで面白いですvv
 
さて、次はシンルナかな(え?
でもって、その次にアスカガを(これがメインでしょう^^
 
ふふふ、結婚式直後シリーズ?
出来あがったらUPしようと思います。

  

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