LOVE SEED
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11/28/16:58 [PR] |
06/27/10:02 陽だまりの仔 9
一見穏やかさを取り戻したかのような室内、俺はソファーの上から一点を見やる。
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06/21/12:33 陽だまりの仔 8
この間、カガリが訪れていた時から、季節は確実に移り変わっていく。 |
06/06/08:52 陽だまりの仔 7
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06/02/09:00 遥かなる君へ6 |
05/29/09:38 陽だまりの仔 6主人が食事をつけ直している間、俺はその場に佇み、またあの時の事を思い出していた。
実に和やか、此処が誰のテリトリーであるかなど、全く考える素振りすら見せなかった。 でも何処か憎めない、そんな奴の事を。 『やっぱりウチと似ているけれど、全然違って見えるな!』 そう言って、キョロリと辺りを眺めた丸い瞳。 其処には嬉々とした雰囲気が見て取れていた。 更に『なんか凄く新鮮だ!』などと言って、ニッと微笑み此方を見やってきたから。 ・・・何が新鮮なんだか!? これに俺はぞんざいな言葉を返した気がする。 しっかりとは思い出せない。 とにかく苛ついていたのは確かだった。 そのマイペースさに気を大きく取られ、調子を大きく狂わされていたから。 ・・・此処は一つ、しっかりと優劣を示しておくべきだよな!? だが、此処でふと俺はそう思った。 体格からして此方の方が有利。 ならば尚更、この突拍子も無い存在に知らしめてやるべきだろう! 向こうの方が新参者なのだし、あまり調子に乗られても困る! しかし気がつけば目の前、再びトコトコと奥へと向かっていくソイツの姿に、俺はまた唖然となり、それから大きく慌てた。 おいッ!? だから、お前なぁ! 此処は他所(俺)のテリトリーなんだぞ! 勝手に動き回ろうとするな! そう言おうとして、急ぎその後を追えばだった。 『こっちが浴室とトイレで、この辺はウチと同じなんだな!』 『だから、好い加減に・・・!』 『ん・・・って、うわっ!何だあれ!?』 軽く自分を無視した状態で、いきなり歩みを止めて固まったアイツ。 その視線の先には収納棚があり、その半閉まりになっていた戸の間からぶら下がり見えていた黒い紐のような物(コードの束)が見て取れた。 『凄い・・・蛇みたいなのが一杯居る!』 『いや、あれは蛇じゃない。あれは・・・。』 『わっ!何だこのキラキラした綺麗な丸いヤツ!』 更にその棚の下、其処に山積みされていたディスク(主人が膨大に所持している物の一部)を覗き見たアイツは、嬉々として身を乗り出した。 全くもって聞く耳もたず。 そして『凄い、此処は奇妙な物が一杯だな!』とか何とか言いながら、更に棚の中へと顔を覗き入れようとしたから! 『危ないから、止めろって!』 俺は慌ててソイツを制止した。 主人の物置は何が入っているか分からない危険地帯だ。 それを知り得て居る自分は、強く声をかけたのだ。 だが興味津々、キラキラと輝くあの双眸はただただ光るディスクの虜になっていて・・・! 『おい!?だから、聞いてるか?』 此方の声など諸共せず、更にズイと身を入れようとしたソイツ。 次いでハッとして見上げれば、何とソイツの頭部へと目掛けて落ちて来そうな工具が目に入ってきて! 不味いと、ただその言葉だけが浮かんだ。 そして背後から脇へと倒れこむ形で突進した俺は、予想以上に軽かったその身諸共、大きく横に転がっていって・・・! 『ッ・・・!』 『痛・・・。』 呟き緩やかに顔を上げたソイツの上で、パッと背後を振り返り見てみた。 すると其処には尖った工具が一つ、傍に落ちた衝撃を知らしめる痕と共に、転がり見えたから! 『馬鹿ッ!』 思わず頭に血が昇り、ソイツの上に乗っかかった状態のまま叫んでいた。 『危ないって言っただろッ!』 『っ・・・ぇ。』 俺が気付いたから良かったものの、あのままだったらどうなっていた事か!? 今頃はアレが突き刺さっていたかもしれないんだぞ!? 『俺の声が聞こえなかったのか!?』 そう言ってやれば、眼下にて、ようやく何が起こったのか理解出来たらしい。 『わ、私、その、あの・・・。』と動揺を隠し切れない様子で、瞳を揺らし、やがて俯いたソイツ。 そしてか細い声で『ご、ごめんな?』と素直に可愛らしくも謝ってきた。 その仕草や雰囲気に、俺は『あれ?』と思い、そして思わず目を瞬いた。 『ごめん!私、その、初めての場所で舞い上がってて・・・だから、その!』 申し訳なさ気に揺れるその丸い瞳。 それ等が、自分の思い違いであると知らしめて居るようだった! 『お前・・・もしかして!?』 生意気だと思い、業を煮やしていた自分。 でもその実・・・メスだったのか。 知らず呟けば、直後、辺りに沈黙が落ちた。 だがやがてグッと細まっていった陽の色をした瞳! そして・・・! 「アスラン、お待たせ!」 ごめんねと呟きながら、食事を持ってやって来た主人を見やりながら、俺は思う。 くるくると、面白いぐらいに様を変えていたあの瞳。 そう、最初こそ、その挙動に自然と同性だと思いこんでいた自分。 けれどその実、小柄でほわんと柔い存在だった。 ・・・確か、カガリとか言ったよな? またいつか、アイツと会う時があるだろうか? 今度逢えたその時には、とりあえず一言詫びて・・・それから? 沈黙の後に受けた鋭いパンチ。 それを甘んじて受けた右頬を手で擦りつつ、俺は自然と苦笑していたのだ。
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