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10/27/00:21  Love at first sight

すみません、ちょっとタイムロスしました(汗)
お越し下さるアスカガ好き、SEED好きな方々へ、日頃の感謝とアスランの誕生日を祝う為、29日まで小説をUPしていこうと思っています!
まずはその第一弾!
社会人パロをお楽しみ下さいませ!!






今晩、皆で呑みに行かないか?
そう誘ってきたその人に、私は驚きつつも『やった!』と素直に喜ぶことが出来なかった。
入社して早2年目、仕事にも何とか慣れてきて、失敗なくこなせるようになってきた今日この頃。
いつの間にやら暑い夏が過ぎ、秋も中旬、確実に冷え込みが増してきている朝夕に苛まれつつある時季。
大学の頃から始めた独り暮らしは、最初こそ自炊に掃除・洗濯と、色々な困難が伴ったものの、社会人となった今では板についてきてもいるし、就職氷河期と呼ばれる今、幸いな事に希望の会社に入社出来たという自負もあるのだろう、これはもう頑張るしかないじゃないか!?と己を大きく奮い立たせている毎日で・・・。
「今日は皆に助けてもらえた事だし、俺が奢ろう。」
更にそう告げた上司であるその人に、周りに居た誰もが『本当ですか!』と言い盛り上がる。
全部で6名居た中の、特に女性2人がその顔をニッコリと綻ばせながら。
私はというと、此処で皆の盛り上がりを下げさせるのもどうかと思い、俯きながら帰社するべく黙々と荷物を纏めていた。
じゃあ、場所はユウナに任せたぞ!
そう言って、誘い主であるその人は自分のデスクへと向かい戻って行った。
そしてスラリと引き締まった身体に黒いジャケットを羽織ると、無駄の無い動きでもって荷物を纏めていく。
「じゃあ、手っ取り早く近場の『AA』に決定!」
入社して8年目のユウナ・ロマ・セイランが、上司からの命を受けて呑みの場所を指定した。
これに『了解!』と大きく返事をしつつ、早速フロアーを出て行く先輩社員達。
先に着いた奴が、席を取って置けよ!と叫びつつ、自分の目の前で荷物を纏めだした紫髪の彼。
「あ・・・アスハ、お前も参加するのか?」
 直後、コッソリと自分に向けて囁かれたそんな一言。
これに私は思わず身を固め、その場にひっそりと佇んだ。
「あんな失敗しておいて、いい気なもんだよな?」
大丈夫だ、これぐらいの事、気にしない!
確かにミスをしたのは私だけれど、でも、あれは自分だけのミスじゃなかった筈なんだから!
私はグッと息を殺し、俯く自分を見つめる粘っこいユウナ・ロマの眼差しを耐え忍ぶ。
本当は此処で涙の一つでも零してやれば良かったのかもしれない。
でもそれは自分の性分では無いし、何より人前で泣くなんて事、幼稚園児以来したこともなかった。
だから私は強気に嫌味を耐え忍ぶ。
結果、より一層彼の不興を買う事になるのだろうけれども。
ああ、今日は真っ直ぐに家に帰りたいな。
心の底からそう思いつつも、私は重い身体を引き摺りつつ、既に向かっていった皆の後を追う形で足を動かした。
何でユウナ・ロマはこんなにも自分に絡んでくるのか!?
どうして自分がこんな目に遭わなくてはならないのか!?
疑問はもうずっとグルグルと胸の中で巡っていたけれども。
頑張れ自分!負けるな自分!
人前で流せない涙を堪えつつ、私は自分を奮い立たせた。
ユウナ・ロマが何だ!これぐらいの失敗がどうだ!
もう後1~2年もすれば、仕事も覚えてきっときっと遣り易くなる!
あんな奴に指導されなくったって、自分で上手くこなせるようになる筈だ!
だから・・・今は我慢だ!
そんな風に念じながら、私はフロアーの自動扉を潜ろうとしてだった。
「おい、アスハ?」
背後からかけられたその声に、ハッと動きを留めた。
振り返った其処に居たのは、正しく職場を取り仕切る部長様であり、よもやな声かけに私はただただ息を呑んだのだった。

 


年齢は31歳、独身、趣味は不明、会社内での評判は上々ながら、プライベートは要と知れず。
そんなウチの部署を纏める新部長の噂は、常に口数の多い女性社員達にとって格好のネタだ。
その日のスーツとネクタイのコーディネートから始まり、昼食時の行動から帰社時まで、彼女達にとってイケメンの人間観察は娯楽の一種であるらしい。
『見た見た?今日の昼食は某ベーカリーのパンみたいよ!』
何が楽しくて、人の食べている食事まで口端に乗せるのか?
しっかりと彼女達の声を耳にしつつも、私は自分のデスクにて昼食を摂りつつ溜息を零す。
まぁ、そりゃあイケメンの姿というものはどうしたって気になるものか?
身長は175センチぐらいの痩せ型、入社9年目の濃紺髪に碧眼をしたその人は、本当にハッとする位整った目鼻立ちをしており、性格温厚、仕事も出来るマルチな男性だ。
所謂、将来有望株であり、実際、上層部のエリートなのだ。
とはいえ、こうも些細な事で五月蝿く騒ぎ立てる必要が何処に有ろう?
『あ!もう食べ終わったみたい!そして食後は、お決まりのオーブ産ホット珈琲よね!』
キャイキャイと賑やかな彼女達を他所に、私はずずずとパックの飲み物を啜った。
やや離れたデスクに居るその人は至って平静そのもの。
そう、いつも食後の珈琲を飲みながら、彼は午後からの仕事の算段などに取り掛かるのだ。
『アスラン・ザラです。今日からこの部署を取り纏める事となりました。どうぞ宜しく!』
忘れる事は無い一年前、一時的に危機を迎えた我が社は、その経営基盤から立て直す為、これまでに無かった上層部との連結を強くする事を念頭に、各々の部署へと事業部のエース等が出向。
それぞれの場所に合った改革を施しつつ、営業利益と効率を追求する方針となった。
そして自分が居た部署へとお目見えした新部長が彼、アスラン・ザラであり、私はその姿を前に、思わず目を瞠り口が開いてしまったという。
何しろ、2年前の初出社の日にいきなり正面衝突したその相手が、よもや事業部のエリートであり、そしてこれから自分の上司となろうとは!?
これは神様の意地悪か何かに違いない!
私はそう思い、頭を抱えた。
そして周りの皆が(特に女子社員が)大きく拍手をする中、独りずっと固まっていた。
だが自分が心配する程の事ではなかったと分かったのはこの直ぐ後。
同じ部署とはいえ大勢の人が行き交うフロアーの中で、まだ雛っ子同様の私が彼から命令を受ける事も無く、また彼もまた私の事など気にして居る素振りすらなく。
至って平穏な日々が続いていた。
そしてこれからもそうだと、私は思っていたのだ!





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