DESTINYにて、指輪を外すに至ったカガリの心情を妄想して書いたものです。
ブルーな彼女はもう見たくない・・・という方は、この短文を読まない方が良いと思われます。
各自了承の上で、お読みになられる方はずいっと下へスクロールして下さい。
きっと・・・。
いや、こうするのが『一番』なのだ。
選んだ道。
決めた、己の未来。
願い、そして祈った彼の事。
グッと片手を握り締めれば・・・。
指にある、硬いリングの感触を痛い程に感じた。
あの時・・・。
銃を向け合った事もあった。
戦場を駆け抜け、互いに生き残り、抱きしめあった瞬間があった。
そして戦後、共に語り合い、海を眺め過ごした長閑な日々。
歯がゆい思いをしながらも、常に身を呈して私を守ってくれていた事も・・・。
全てが忘れ得ない、彼との記憶。
デモ・・・だけれど!
もう、お前を待っている事は出来ない。
守るべきもの。
自身の名にかけて、私は・・・この国を守らねばならないんだ。
涙がやはり、溢れて止まらないけど・・・。
ゴメン。
そして・・・アイシテル。
誰よりも、今。
私は、彼を・・・愛してる。
けれど・・・ゴメン。
【 Promise 】
第一次大戦を経て尚、私達はずっと共にあった。
そして、これからも・・・きっとそうなのだと思っていた。
それは漠然とした未来。
けれど・・・。
『こんな時に、すまないが・・・。』
再び巻き起こりつつあった戦火。
それを阻止する為、お前は急ぎオーブを発っていった。
・・・行かないで・・・!
胸の奥、離れるのが淋しいと・・・そう思えども。
その翡翠の双眸に見えた、深く強い感情。
彼が、今までずっと胸に堪えていた想い。
それを知る自分には、もう止める言葉など口には出来はしなかった。
けれどそんな私に、彼が与えてくれた物!
『ユウナ・ロマとの事は分かっているけれど・・・。』
――此処に、戻ってくる・・・!!
それは彼からの、声無き約束。
――それまで、待っていて・・・!!
この指に嵌められた、誓いの証。
『こ、こういう指輪の渡し方ってないんじゃないか!?』
思わず、そんな事を口にした私。
でも・・・。
・・・愛しています。
あの時言えなかった言葉。
それは本当に衝撃的な出来事で!
思えば彼らしいようで、彼らしくないような?
そう、今でも夢のように感じる、あの時、あの瞬間!
正に、想像もしていなかった事態に、照れが先走ってしまったけれど!
今も、ずっと・・・お前だけを愛しています!
――アスラン!
でも・・・ゴメン。
――願う未来の為に・・・。
私は右手の薬指へと手を伸ばした。
そして、そこにある指輪をスッと引き抜いた。
涙はまだ・・・枯れぬども。
PROMISE ―完―
[6回]
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