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05/29/09:29  陽だまりの仔 1

眩い陽の塊みたいなヤツを見つけたその日・・・。
空は何処までも澄み渡り、そして心は妙な高揚感に襲われていたのだ。


俺の名前はアスラン。
飼い主はくるんとした目の、甘い顔をしたちょっと危なっかしい男だ。
行動は、いつもその時任せ。
朝起きる時間だってバラバラで、何を考えて居るんだか全く分からない。
時折『うわっ!ヤバイ!』とか言って跳ね起きて、ボサボサの頭でドタドタと慌しく動き出し、尚且つ独りで叫びだす。
何で目覚ましが止まっているんだよとか、どうしてこういう時に限って寝坊するんだとか。
本当に訳が分からない。
というか、それは自分の行いが悪いからだろ?
傍で呆れた眼差しを向けてやるものの、当の本人は気付く素振りも無くて。
まあ、もうかれこれ5年の付き合いになるし、コレぐらいの事は慣れっこ。
どれだけ慌てていようが、俺のご飯や世話だけはしっかりしてくれる、その点だけでも高く評価してやるべきだろう。
そうして今日も、飼い主は嵐の如く家を出て行った。
『ごめん!時間が無いからもう行くけれど・・・はい、御飯だよ!』
ちゃんとしっかり食べてね?
そう言い残していった男へと、俺は胸の中でこう思っていた。
はいはい、分かっているから、早く行けよ?と。
そして俺は置かれたご飯食べながら、ルーズな飼い主を思い遣る。
今頃は何をしているだろうかと。


そんなこんなで、独り静かな朝食後、俺はいつも飼い主が使っているデスクの上へと飛び乗り、其処に置いてある様々な道具を眺め見ていた。
詳しくは分からないが、飼い主はこれ等の物を使って、奇妙な物を生み出すのだ。
カタカタしゅるしゅると、実に軽快に動く生き物を。
残念ながら匂いは無くて、どうやら食べれるものでは無いようなのだけれど。
『ほら出来たよ!アスラン、行くよ!』
そうして飼い主は、出来上がったソイツを床の上に置く。
するとカタカタ、時にしゅるしゅるという音を立てながら、ソイツは床の上を素早く動き回るのだ。
それを捕まえたって何の得にもならないとは承知の上。
けれどどうしても、そう、なんとも言えずソイツの動きが意識に障るから・・・!
目の前を横切ろうとした一瞬の間に、俺はソイツへと飛び掛かかる。
そして見事に拿捕!
次いで渾身の右パンチを喰らわせてやるのだ!
『うわっ!アスラン凄いね・・・まさに瞬殺!』
おかげでジージーと奇妙な音だけを立てながら、ソイツは再起不能。
可笑しな格好で床に寝そべる羽目に陥る。
正に、怖れるに足らぬ相手!
とはいえ、何故かその後も飼い主の手によって生き返り、何度かリベンジを謀ってきたりもするから!
一体全体、飼い主は此処で何をどうして居るのか?
俺としてはソレが凄く気にかかっているのだ。
しかしまぁ、何とも言えず煩雑な机の上。
あっちこっちに散らばっている道具の数々に、思わず溜息が出る。
よく見て歩かないと、酷く尖った物体さえも転がっている。
ちょっとだけ片付いている(というか、空いていた)スペースにて腰を下ろすと、目を細めて辺りを見やった。
正に困った飼い主だ。
そんな風に思いつつ、ゆっくりと顔を動かして・・・。
ふと窓辺へと意識が向いて、俺は其処から外を見つめた。
今日は快晴。
実に見事な青空がチラリと垣間見える。
もう少しこの場所を偵察したらば、いつもの日の射し込む一角にてのんびりと昼寝でもするとしようか?
思わずそんな算段をしつつだった。
ん?と何となく気を引かれ、俺はその窓辺へと近づいていった。
外に小さなテラスが覗ける其処は、壁伝いに隣から繋がっている。
そして今其処にはだった!
・・・誰だ!?
ふわふわほわんとした金色をした毛並みが、チラリとこの目に映って見えた!
思わずグッと身を乗り出し、ソイツを凝視する。
何者だろう?
心地良さ気に身を丸め、俺のテリトリーに入り込んで居る奴は!?
・・・コイツは一体?
見たこともないヤツだった。
今まで生きてきた中で、そう、時折ケンシンとかいう名目で向かうドウブツビョウインとかいう場所でも見たことが無い。
何とも言えず柔らかそうな毛並!
まるで降り注ぐ日の光から生まれたみたいだと思えた。
近寄ったらば芳ばしい匂いがするのではないだろうか?
ふとそんな風にさえ思い、俺はただただソイツをジッと見つめて・・・!
直後、何かを感じたのだろう。
ソイツの耳がピクリと動き、そしてその顔を上げた。
そして辺りの気配を伺うようにゆっくりと見やり・・・俺を見つける!
刹那にドクンと鼓動が鳴っていた。
ああ、何て・・・?
言葉にならないぐらい、真っ直ぐに射し込んで来たソイツの瞳。
あろうことか、その目さえも陽の色で!
正に空から舞い降りてきたかの如く、眩くこの目に映って見えた!
けれどこの逢瀬は一瞬にして終わりを告げる。
ボウっと見つめて居た俺の視線の先、ソイツはくるんと顔を戻し、スッと身を起こした。
そしてゆっくりとテラス伝いに歩み去っていく。
そして見事な印象だけを俺の中に残して、姿を消したのだった。

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