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03/26/23:35  軌跡

これは2011年、3月8日。
アスカガ無人島にて遭遇日記念として書いた短文です。
(サイト内から此方に移動)



カサリカサリと、砂を踏み行く。
その足音が、まるで時の調べのように耳に聞こえる。
カサリ、カサリ、カサ・・・リ・・・。
ふと足を止めて、波間へと目を移せば、海と空、そのコントラストが心が沁みた。
そして俺は、あの日の事を思い出す。
決して忘れはしない。
不意に襲った銃弾の音。
そして反撃、押し倒しナイフを突きつけた、あの時の感覚。
緊迫した時の中、見つめたその瞳は、まるで今この地を照らす太陽の如く、ただただ真っ直ぐな金色をしていて・・・。
「どうかしたのか?」
フッと見やった己の横。
其処にある、あの日と同じ瞳を見つめた。
幾分か、あの日よりも丸く柔らかな光を灯すようになったその目は、自分を見つめ不思議そうに微笑む。
「何だよ、アスラン?」
「いや・・・。」
繋いでいた手を、思わずギュッと握り締めた。
その温もりと感触とを、強くこの胸に抱くようにして。
あの日、拘束した彼女を先立たせて歩いた砂浜。
眩く揺れる金色の髪に、思わず目を細めていた俺。
捕虜と敵兵。
そんな相反する者同士の、数奇な出会い。
そして・・・。
「このまま・・・。」
「ん?」
「ずっと・・・このまま、2人きりで居たいな。」
不意に呟かいた言葉に、彼女の瞳が瞬いた。
「あぁ。」
私もそう思うよ。
返って来た言葉に、この胸がジワリと熱くなりゆく。
見つめた先には、ただただ広がる真っ白な砂浜。
其処には何の跡も無い。
未来の如き、未知の領域。
そしてまた一歩、踏みしめた砂地に俺はソッと目を瞑る。
そう、この先何があろうとも、きっと・・・。

――護り、共に歩んでいこう。

南海の砂浜にて、俺は胸に誓う。
煌く金色の存在に、心を寄せて・・・。

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